『信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略』~ あらすじ・キャラ・見どころ紹介!

本作『信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略』は、
漫画:しろいはくと先生、原作:大崎アイル先生、キャラクター原案:Tam-U先生による異世界転生漫画です。

あらすじ

 高月マコトはスキー合宿の帰り、地震で雪崩が起きてバスごと生き埋めにされる。バスの中で助けを待っている途中で意識が無くなり、目が覚めると異世界に居た。現世から異世界に転生する条件は「現世で死亡する」こと。これに了承した者だけがこちら側に来ている。クラスメイトは十数人足りなかった。

 神官長から「魂書(ソウルブック)」を渡される。一枚の紙で、これにステータスが表示されている。他人にも読める。マコトのステータスは良い物では無かったが、クラスメイトの中には勇者スキルを持っている者たちも居り、クラスメイトの1/3ほどが水の国の者に連れて行かれ、残りも各国からのスカウトに引き抜かれていった。

 マコト達が保護された場所は、水の国の「水の神殿」と呼ばれる場所で、身寄りのない人間を期限付きで保護する施設。一年間は無償で施設の授業を受ける事ができ、その間に身の振り方を決めるのだが、マコトだけ最後まで引き取り手が現れず、一人で冒険の旅に出る。向かう先は親友のふじやん(藤原)を引き抜いた商人が居る水の町マッカレン。

 マコトが弱小ステータスを工夫しながら練度を上げて旅をしている道中、夢の中で女神から「信者にならないか?」と声を掛けられる。女神から直接声を掛けられるというありえない事態に混乱したが、怪しさと利益を冷静に判断して信者になり、短剣を貰い受ける。後日この短剣をふじやんが鑑定した結果、彼女が「邪神ノア」と判明するが、信者を続けている。

 水の町マッカレンの冒険者ギルドに登録したマコトは、経験値と生活費を稼ぐ為に依頼を受けて働くが、弱小ステータスの改善はされず、他のパーティにも参加できずにソロ活動を続けて行く先でルーシーと出会い仲間になる。彼女と連携が取れるようになった頃、ふじやんと護衛のニナをパーティに加えた四人で「大迷宮ラビュリントス」へ挑む事を決める。

登場人物紹介

高月 マコト

 18歳学生。魔法使い見習い。固有スキル「明鏡止水」:平常心を保てるスキル。強い魔物に襲われても慌てず行動できる。「水魔法・初級」:初級水魔法が使える。魔力量が少ない。「RPGプレイヤー」:RPGゲームをプレイする人の視点が利用できるスキル。360度見渡せる。異世界人しか持てない固有(ユニーク)スキル。「精霊使い」:邪神ノアの加護。精霊の力を借りる事が出来る。隠密、索敵など、他にも色々使える。

 スキー合宿の帰り、地震で雪崩が起きてバスごと生き埋めにされるが携帯ゲームをやり続け、気が付いたら知らない部屋で目覚める(窓から外を見ると異世界っぽかったので大興奮)。

 水の国の「水の神殿」神官長に、現世で死ぬ事と引き換えに異世界転生した事を聞かされる。転生した異世界人は特殊なスキルを女神様に与えられる事から、多くのクラスメイトがその恩恵によって各国のスカウトマンに引き取られていったが、弱小ステータスだったマコトは「水の神殿」で一年間勉強した後でも引き取り手が現れず、一人で旅立つ。

 夢の中で名乗らない女神に「信者になろうよ!」と声を掛けられる。名前を聞いても答えない怪しさ満点の女神だったが、押し切られて信者になる。そして信者になってみても彼女の名前は分からず、さらに信者は一人だけだと告げられた上に、力が無いから加護も与えられないと言われてがっかりするが、加護の代わりに貰った短剣が国宝級でとても役に立つ。

 水の町マッカレンの商人に引き取られた親友のふじやんの所へ行き、短剣を鑑定してもらった結果「邪神・ノアの短剣」と判明した為、女神の名前と邪神である事が分かってしまうが、信者を続けている。

 マッカレンの冒険者ギルドで冒険者となったマコトは、弱小ステータス故にパーティに参加できず一人で依頼をこなしてゆくが、大きな魔力に振り回されて上手く使えないルーシーとパーティを組み、訓練や依頼を一緒にこなしてゆく事で新たな戦闘スタイルを確立し、強くなってゆく。

邪神ノア

 ティターン神族。人の心が読める。ミニスカドレスの可愛い系女神。聖神族に逆らった罰で「海底神殿」に監禁されており、十年に一人しか信者を増やせない。

 ノアは「ずっと見ていた」と言ってマコトに声を掛け、自分が邪神である事を隠して信者にし、邪神と発覚した後でも土下座で信者を止めないでくれとお願いしている。

 マコトが毎日お祈りする事でノアの神力は回復し、加護を与えられるようになった。

 自分が「海底神殿」に閉じ込められている事を伝え「来なくてもいいよ」と言ったが、ゲーマー魂に火が点いたマコトは目標にしてしまう。

ルーシー

 エルフの里出身。混血。赤毛に赤目で気が強い。美少女。素直な性格で疑う事を知らない。魔法使いで「火魔法・王級」「大魔道」「精霊使い」をもっている。

 母はエルフ。父は全身が炎に包まれた魔族。その血を引いているので、魔力に炎属性を強力に帯びている。祖父がエルフの里長なので、混血に文句言う者は村八分にするぞと脅していた。

 火魔法は強大だがコントロール不足。散開、爆散、暴投、上手く使えない。火魔法以外は詠唱が遅すぎて使えない。勝気な性格と魔法暴走が相まってすぐ喧嘩してしまい、マッカレンの冒険者ギルドでは入れてくれるパーティが無くなってしまった事から、窮地を救ってくれたマコトと強引にパーティを組み、地道な訓練を経て少しずつ魔法制御が出来るようになってゆく。

 マコトに恋心を抱いているが上手く言えず、マコトの周りに集まる女性たちに嫉妬して暴走している。とても愛らしい。

ふじやん(藤原)

 マコトの親友でクラスメイト。ケモ耳好きの美少女ゲーマー。ぽっちゃり眼鏡男子。フジワラ商店の主人。「収納・超級」:アイテムの出し入れが多くできる。「鑑定・超級」:アイテムの品質を見られる。「ギャルゲープレイヤー」:会話が文字として読める。会話ログが見える。

 大陸で一番大きい「フランツ商会」にスカウトされ、毎日休み無く荷運びをさせられていたが、渡り歩いた国で掘り出し物を見付けて売り、資金を稼いだ先で信頼できる人を見付けて頼り独立。一年で数々の商売を成功させ、マッカレンの裏まで知り尽くしたこの町で逆らってはいけない商人に成り上がっている。

 商会ではスキル「ギャルゲープレイヤー」で会話ログが読める事から記憶力が良いと褒められ、スキル熟練度が上がると「相手の思っている事までテキスト化」されるようになったので弱み握り放題。

 マコトとはタッキー(高月)ふじやん(藤原)と呼び合っており、とても仲が良い。水の神殿に残してきたマコトの事を心配しており、マッカレンの街で再会できた時はとても喜んだ。

 マコトとルーシーのレベル上げを待ち、護衛のニナと一緒に四人で「大迷宮ラビュリントス」に向かう。

さーさん(佐々木アヤ)

 マコトの友人でクラスメイト。弟が四人。

 目覚めると蛇女(ラミア)の卵の中だった。人里に行きたいと考えるがラミアではどうにもならない。しかしラミアとして生き、狩りを覚えながら家族と暮らして行く先で人化の魔法を習得する。

 一人立ちできるほど成長し、人に化けられる魔法も手に入れた事から家族と離れ、旅立とうと決めた夜、大姉様の手引きによってハーピーの群れに襲われ、全滅し殺された。けれど目が覚めた。蘇生した理由は分からないが、家族を皆殺しにされたアヤは復讐を誓う。

 アヤは巣を出て大迷宮をさ迷い強くなってゆくが、復讐を遂げるには届かない。強くなる為には良い餌を食べなくてはいけない。人としての尊厳と復讐を秤に置いて傾け、迷い込んで来た人間を餌とする為に群れた魔物たちに紛れて食らい付いたアヤは、腕の中に抱いた人間がクラスメイトのマコトだと気が付いて正気に戻る。そして一緒にいたルーシーと共に脱出し、大迷宮から抜け出す。

 地上に出た三人は宿屋で待っていたふじやんたちと合流。アヤの事情を聞いたマコトたちは復讐の手助けをすると約束した。

見どころ – 好きなシーン

 スキー合宿の帰りに地震で雪崩が起きてバスごと生き埋めにされた場面

 マコトの時は雪に埋もれたバスしか描かれていないが、アヤの回想で二人が並んで座っている場面が窓から見える。窓の一角を残してバスは雪に埋もれている。二人は座席に並んで座っているが、寒そうにしていない(暖房が利いている)。マコトは携帯ゲームをしている。アヤはそんなマコトを心配そうに見ている。マコトは「電池が大事なのはわかってるからここだけ」とゲームを続ける。他のクラスメイトなどは描かれていない。

 マコトを筆頭に、異世界に来たクラスメイトたちは「恐怖」という感情を失っています。まさにゲームアバターのように異世界を楽しんでいます。わくわくしています。死んだら終わりのデスゲームと理解しながら死に「怯え」ないのです。

 雪崩で崖からバスが落ちれば怪我人やパニック発狂する生徒が出るのは必須。だからこそ静かにバスの座席に並んで座る二人と、ゲームを続けながら救助を待つマコトの姿は異世界ファンタジー漫画ではなくサバイバル漫画のようでとても怖いです。もしかしたら他の生徒はもう全員死んでいるのか、それとも救援を待って我慢している静寂なのか、逃げ出したのか。

 水の神殿で目覚めて「異世界だ、やったぜ!」と大興奮して楽しんでいるマコトやふじやん、クラスメイトの皆さんの姿は「死の恐怖から脱出した興奮状態だから?」と思いましたが、作中を通しても「恐怖」演出が無いに等しい転生組の皆さんの精神はとても奇妙です。現地生まれの方たちはしっかりと恐怖に逃げ惑っているので意図的なものと思われますが、世界のパワーバランスを傾けるほどの力を持った異世界転生者たちが「恐怖」を持たず戦う力を増してゆくのは、物語の中で最高のスパイスになっていると思います。

 彼らが「大魔王」と戦う為に連れて来られた者だから「恐怖」を麻痺させられているのだとしたら「大魔王」に勝利した後に待ち受けるのは聖神族たちとの戦いになる予感。そうなれば古い神であり邪神とされたノアたちが手を貸すのは必須であり、その為に選ばれたマコトのステータスが調整されていたとしたら、とても面白い。

 アヤのバス事故回想シーンは「能天気なやつらだな。異世界ファンタジーだしな」という「いつもの展開」から「恐怖を感じないのはわざとか?」という疑問を生み出してくれました。

見どころ – ここに注目!

 ふじやん&ニナ。

 水の神殿を出てから一年で独立「フジワラ商店」の主人となり、マッカレンの裏まで知り尽くした商人にまで成り上がった手腕は、スキルの力だけではない。ふじやんの才能である。そして「ケモ耳は汚すべからず!」を信条としている彼は、ウサギ耳の美少女ニナを愛でながらもノータッチ!で尊重しているはず。ニナは強く、賢く、ふじやんを主として尊敬している。

 この二人には仲良くガンガン成り上がって欲しい。そしていつかニナが「独立したい、店を持ちたい」って言ったら、ふじやんは胸を叩いて了承してくれるだろうけれど、結婚的な展開も進んでくれると読者としてはとても嬉しい。いつか二人の出会い編として「ふじやん成り上がり物語」的な話が描かれるといいな。

 ケモ耳好きの美少女ゲーマーがウサ耳美少女との間に子供を作り、ケモ耳我が子を賜るとか羨ましすぎるけれど、不幸展開とか無しで幸福絶頂のまま暮らして欲しい。

 ニナに振られたとしても、ニナが店を持ち、店員となったケモ耳少女の誰かがふじやんと恋に落ちる展開を望みます。才能と財力は立派な男の魅力だ。頑張れふじやん。

 ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!