【おすすめ異世界漫画】『王太子妃になんてなりたくない!!』あらすじ・キャラ・見どころ紹介

作品概要・あらすじ

公爵令嬢リディアナは一夫多妻制の王族に嫁ぐのが嫌で幼少の頃から王太子に会わないように病弱を装って引き籠っていたが、摂政である父の意向で王太子の婚約者になってしまう。
窮地に追い込まれたリディアナは王太子妃の絶対条件である「処女」を失う事で婚約者失格となるべく高位貴族の遊び場「仮面舞踏会」へ参加し、噂高い遊び人と一夜を共にする事で乙女の証を失う。
家に帰ったリディアナは自分が乙女ではない事を父に告白すれば王太子との婚約は白紙になると考えていたが、父は王太子を連れて帰宅し、その場で婚約の儀式が交わされてしまう。
王太子はリディアナを部屋へ誘い、二人きりになっても好意を隠そうとしない事からリディアナは意を決して自分が「乙女」ではない事を告白したが、王太子は笑って受け入れた。何故なら仮面舞踏会で一夜を共にした「遊び人」が王太子その人であったからだ。
驚愕の事実にリディアナは混乱してしまうが諦めず「正式の場で乙女である事が証明できない」事を理由に婚約破棄を願い出るが、それも王太子に却下されてしまう。
王妃の胸には王華が咲いている。それは刺青と思われているが違う。王華は王族男性が伴侶を選定する儀式を行った結果咲く花であり、生涯に一度しか行えない。
王太子はリディアナに一目惚れして儀式を行い、リディアナの胸に青薔薇が咲いた。結婚を断れば王太子は王族を追われ、リディアナも家も無事ではすまない。
逃げられない事を悟ったリディアナは婚約破棄を諦め、王太子と共に幸せになる道を行くと決意する。

主人公の人物紹介

リディアナ・フォン・ヴィヴォワール

筆頭公爵家令嬢。日本人転生者。甘味大好き。
王太子と結婚したくないのに婚約者に選ばれてしまったリディアナは、王太子妃の条件である「処女」を捨てる為に仮面舞踏会へ行き、遊び人の男と一夜を共にして乙女ではなくなってしまう。
これで婚約破棄になると上機嫌で家に帰り、後は父に報告するだけと待っている所に父が王太子を連れ帰り、何故かその場で婚約の儀式が交わされてしまう。
焦ったリディアナが王太子へと自分が「乙女」ではない事を伝えると、王太子もまた自分が「遊び人」であった事を告白し、自分が相手であったから問題ないと笑う。
それでもリディアナが婚約破棄を望めば、王太子は王家の秘術を話した。
それは王家の男が生涯に一度だけ行える秘術であり、失敗すれば王家を追われ、最悪の場合は死を賜る事になるという儀式。
その成功の証が胸に咲いた青薔薇である事を告げられたリディアナは婚約破棄を諦めた。
そして王太子もまたリディアナが婚約破棄を望む理由となった王族の一夫多妻制を拒み、リディアナだけを愛すると誓いを立てる。
自分だけを愛してくれる相手ならば父の意向に従う気持ちを持っていたリディアナは、王太子の真摯な愛情を受け入れて恋心を育ててゆく。

登場人物紹介

フリードリヒ・ファン・デ・ラ・ヴィルヘルム

王太子。騎士団総司令官。金髪碧眼の美青年。
完全無敵の王太子と称されるフリードリヒの悩みは「性欲が強すぎる」事。ヴィルヘルム王家の男は特殊な事情から魔力と性欲が強い傾向にあるが、フリードリヒは特に強く、放置すると集中力が欠けて魔法制御が利かなくなる。騎士団を率いる立場で魔力制御を疎かにする事はできず、積極的に自分で発散していたが上手くいかない。寝所に相手を入れれば愛妾にしなくてはならず、公娼も気が進まない。
そうした悩みを口にした所、側近の近衛騎士団団長グレゴールに夜会を勧められる。高位貴族が集まる「仮面舞踏会」では一夜の遊びとなるからだ。
フリードリヒは夜会を渡り歩いて性欲を発散するが、好きでもない相手に美辞麗句を並べて過ごす夜に疲れ果て、今日を最後にしようと決めた夜にリディアナと出会い一目惚れする。
そして王家の秘術「王華」の魔術刻印を与えた。これは王族の男性が伴侶を選定する為の儀式であり、成功すると個人の象徴華を模った魔術刻印が浮かび上がる。しかし儀式を行えるのは生涯に一度。さらに相手が「処女」でなかった場合は失敗となり、王族の地位を追われ、最悪の場合は死ぬ事になる。
一夜明けてみれば彼女は腕の中から居なくなっていた。フリードリヒは彼女を探し、見付けた相手が婚約者のリディアナであった事から運命に感謝して結婚を決めた。

ウィリアム・フォン・ペジェグリーニ

魔術師団団長。グレゴールの兄。王太子の幼馴染。
幼い頃からリディアナに恋心を抱いていたが、ヴィヴォワール筆頭公爵家とは家同士の仲が悪く、父親から求婚の許可が下りなかった。
ウィリアムはリディアナの周囲から恋心を抱く男たちを蹴散らし、兄のような立場で親交を深めながら求婚の許可が下りるのを待っていた。
そしてようやく父親から求婚の許可が下りた矢先、リディアナと王太子フリードリヒの婚約が発表される。
幼馴染の王太子、王太子の側近である弟のグレゴール、そしてリディアナの父である宰相、さらに父親もまたこの婚約を知っていて求婚の許可を出した事、王太子との婚約を嫌がっていたはずのリディアナが受け入れた事など、全てが理解できなくて混乱する。
それでもリディアナが幸せならば祝福する。そう思うのは幼馴染である王太子が良い男である事を知っているからだ。
けれどもしも王太子がリディアナを泣かせるような事があれば……感情の嵐が吹き荒れる胸中を押し殺して二人を祝福するウィリアムの耳に、北の騎馬遊牧民族国家「タリム」からの侵攻が届けられる。

グレゴール・フォン・ペジェグリーニ

近衛騎士団団長。ウィリアムの弟。王太子の幼馴染。
グレゴールは側近として、強すぎる性欲を持て余している王太子の悩みを解消する為に「仮面舞踏会」へ行く事を勧める。
しかし王太子が夜会で運命の相手と出会い「王華」まで授けてしまった事を聞いて驚愕。相手の女性に逃げられた事を聞いて眩暈を覚えるが、女性の特徴から貴族令嬢を探し、その相手が王太子の婚約者リディアナと判明して言葉を失う。
王太子は婚約に難色を示しており、破棄になる予定だった。しかし王太子は運命の相手が婚約者のリディアナと知ると彼女が父親に婚約破棄を言い出す前に全ての退路を塞ぐべく命令を下す。
グレゴールは王太子の命令を受けて行動し、二人は幸福に結ばれた。
その結果、失恋に落ち込む兄の姿を目の当たりにする事になる。
兄のウィリアムがリディアナに恋心を抱いている事は周知の事実であった。
だから王太子も当然知っていてリディアナとの婚約を断るつもりなのだと思っていたが、王太子は気付いておらず、リディアナもウィリアムの事を兄としか思っておらず、さらに兄自身もリディアナに恋心を伝えていなかったという予想外の出来事の結果、兄のウィリアムは失意の底に突き落とされた。
リディアナに恋心を伝えていなかった兄が悪いのだが、落ち込む姿に正論を言えるほど弟も強くなかった。

マリアンヌ

リディアナの友人令嬢。
淑女な見た目で高位貴族の夜遊び場「仮面舞踏会」に精通している。リディアナの相談を受けて夜会に行く準備を整えてくれた。乙女である事が重要視されない世界観なので夜会は若い貴族の遊び場となっているようだが、女性用避妊薬は「幻の薬屋」でしか手に入らない。男性用避妊薬は一般販売されている。

漫画の見どころシーン

正式な婚約お披露目の後、王太子がリディアナを連れて部屋へ行こうとする途中、王太子の取り巻き令嬢たちがリディアナに敵意を向ける形で王太子に纏わりついた場面。
王太子はリディアナへの侮辱を許さず、令嬢たちにも厳しく対応する。王太子としての威厳を示しながらも、令嬢たちの感情を無視した冷淡な対応、さらにリディアナの発言が小さな誤解を生んだ後の態度も厳しく、王太子が嘘、もしくは虚偽に対して大きな嫌悪感を持っている流れが印象深い。王族特有の強い魔力と性欲を持っているのに女性に対して冷淡な所もある事から、過去に嫌な思い出があるのかもしれない。

漫画の注目ポイント

王太子とリディアナが出会った夜会。
形ばかりの添え物となっているスウィーツテーブルで大好きな甘味を味わうリディアナの姿に一目惚れ。同じように注目していた男性たちを蹴散らして声を掛けたらあっさりベッドインできて驚く王太子。
リディアナは乙女喪失が目的なので行動に矛盾はない。
しかし王太子は高位貴族の集まりであり、リディアナの立ち振る舞いから高位貴族令嬢だと判断し、肌を合わせて乙女だと確信したとしても、男女の出会いの場である「仮面舞踏会」に来た見知らぬ女性相手に王家の秘術「王華」を与えるという暴挙に読者は声を失う。
王家の男性が伴侶を選定する「王華」の魔術刻印は、処女膜を貫通する時に術式を展開させてそのまま精を吐き出せば完了するという安易なものだが、相手が乙女でなければ失敗となり、王族を追われる事になる。
王太子がやっていいことではない。
女性不信を前面に押し出してからの一目惚れ、王華、婚約までの勢いが「運命」的な流れになっていると分かっていても、王太子の秘められた激情が見え隠れしてドキドキしました。