本作『異世界から聖女が来るようなので、邪魔者は消えようと思います』は、
漫画:ばち先生、原作:蓮水涼先生、キャラクター原案:まち先生による異世界転生漫画です。
目次
あらすじ
王に即位する意地悪な兄・アイゼンから異国へ嫁ぐことを告げられるフェリシア。嫁ぎ先はシャンゼルという大陸最東端の地で、常に魔物からの脅威に晒されている国家です。フェリシアは、これが兄からの最後の意地悪と考え、兄弟と離れられることを喜び、そして結婚相手であるウィリアムに対しても仄かな期待を寄せるのでした。
しかし、ウィリアムの絵姿をひと目見たとき、フェリシアの頭の中に電流のような衝撃が走り、前世の記憶を思い出します。日本人であった自分と妹が大好きだった乙女ゲーム、この世界はその乙女ゲームそのものでした。自身ではその乙女ゲームをプレイしていませんが、妹から聞かされて大体のストーリーを把握していたフェリシアは、自分が悪役令嬢としてウィリアムに殺される未来を思い出します。
最悪の未来を回避するため、フェリシアは婚約破棄されてシャンゼルで平民として幸せに生きることを目指し、ウィリアムには絶対惚れないと決意を固めるのでした。
登場人物紹介
フェリシア
大国グランカルストの第二王女という立場でありながら、兄弟の中で一人だけ側室の子と言う理由で冷遇されていました。母を亡くし、一人荒れ果てた離宮で大好きな植物を育てながら生活をしているフェリシアは、異母姉に毒をもられた経験も合わさり、毒についての豊富な知識を持つようになります。
しかしその境遇のせいで、自分が他人から愛されているという可能性が頭の中に一切なく、そのことが原因で様々なすれ違いを呼んでしまいます。
途轍もなくタフなメンタルの持ち主でもあります。
ダレン
シャンゼルで町医者をしています。屈強な肉体を持ちながらオネエという強烈なキャラクターですが、かつてフェリシアの母親の主治医をしていた人物です。
ダレンはフェリシアを溺愛しており、フェリシアもダレンを第二の母として慕っています。ダレンはこの作品の中でも数少ない癒やしであり、フェリシアが信頼している唯一の存在と言えるでしょう。またフェリシアを叱ってくれるのもダレンだけで、彼(彼女)の振る舞いは読者にとっても癒やしと言えます。
アイゼン
大国グランカルストの第一王子で、フェリシアの異母兄に当たります。子供の頃からフェリシアに対して意地悪を繰り返しており、物語の冒頭でもフェリシアに対してシャンゼルへの輿入れを冷たく言い放っています。
しかし心のなかではフェリシアのことを大切に思っており、シャンゼルへ嫁ぐこともウィリアムの愛が本物という確信を得たからこそです。フェリシアに対しては優しい態度は一切見せなかったアイゼンですが、魔物から命がけで彼女を守るシーンで初めてその片鱗を見せてくれます。
ウィリアム王太子
シャンゼルの次期王であり、フェリシアの結婚相手です。
フェリシアは前世の乙女ゲームの記憶から彼を警戒していますが、実は幼少期にウィリアムはフェリシアと出会っており、彼女の言葉に救われた過去があります。それ故にフェリシアに対してヤンデレとも言える激しい愛情を抱いていますが、フェリシア本人にはなかなか伝わりません。
サラ
シャンデルにて召喚された聖女です。乙女ゲームにおける主人公で、フェリシアと同じく日本からこの世界にやってきました。
サラ本人は純粋で優しく天真爛漫な性格ですが、シャンデルの人々の聖女崇拝のせいで、間接的にフェリシアに害を与えてしまうことになります。
見どころ – ここに注目!
話の導入部分は悪役令嬢転生モノとしては王道と言えます。ですが、悪役令嬢である主人公が、本来ヒロインが持つであろう不幸な境遇まで併せ持っている点がこの作品の特徴的なポイントです。
普通の作品なら、兄弟たちにイジメられていた主人公の人生は異国に嫁ぐことで一気に好転しそうなものですが、この作品では違います。タイトルにもある聖女の影響で、主人公にはシャンゼルでも厳しい展開が続きます。
それだけ聞くと読んでいて気持ちが下がるような暗い内容を予想してしまうかもしれませんが、そんなことはなくむしろこの作品の魅力はそこにあります。というのも、主人公のフェリシアのメンタルが途轍もなくタフなので、自分に辛く当たる人たちに一切負けません。ときには嫌がらせを完全に受け流し、ときには毅然と立ち向かい、読者にモヤモヤとした感情を抱かせない強さがあります。
見どころ – 関係性のイチオシ!
乙女ゲームの内容を知っているためにウィリアムを警戒するフェリシアと、腹黒い雰囲気を隠そうともしないが実はフェリシアのことを愛しているウィリアム。この二人の、勘違い系作品にも通ずる関係性が読んでいてとても面白いです。作品の中でウィリアムのことを完全に好きになってしまうフェリシアですが、自分がそれ以上にウィリアムから愛されているなどこれっぽちも思いません。二人の気持ちが通じ合ったときどうなるかという点は、この作品最大の見所と言えるでしょう。
ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!