本作『狼は眠らない』は、
漫画:新川権兵衛先生、原作:支援BIS先生、キャラクター原案:田ヶ喜一先生、ネーム構成:かかし朝浩先生による異世界転生漫画です。
目次
あらすじ
冒険者として、ひとかどの人物だったレカンは、ある日、仲間のボウドと共に黒穴を見つけました。この先には何があるか分かりませんが、冒険者・レカンは躊躇せず、意を決して黒穴に飛び込み、落下します…。
目が覚めると、レカンは草原に寝ていました。一緒に落ちたはずのボウドの姿は見つかりません。
今までのスキルは普通に使えて安心しますが、周囲を検知すると、生物の反応が不思議と弱いことに気づきます。そして、魔獣を打ち倒し、魔力を吸収することで、今までと同じように成長できることが分かりました。
水や食料を求めて進んでいくと、魔物に襲われる一団を見つけます。言葉が通じない彼らと接することで、レカンはここが異世界なのだと悟ります。こうしてレカンは新たな世界で冒険者を続けます…。
登場人物紹介
レカン
言語スキルで言葉が通じる異世界物が多い中、シビアなこの作品は、まったく言葉が分かりません。でも、上級冒険者だったレカンは、丁寧な敬意や作法を身につけていました(たとえ、この世界の作法と違っていたとしても、それは彼なりに敬意を示してくれたと判断するに足るものだったのです)。見た目は武骨な大男という感じのレカンですが、やはり元の世界でも貴族と接するような大物だったのでしょう。貴族の娘・ルビーとの邂逅も、一切戸惑うことなく大物感がありました。
また、レカンには立体知覚や生命感知といった、便利なレーダーのようなスキルがあります。
ルビー
レカンに助けられた貴族の娘です。
彼の役に立ちたいと、善意でレカンのネックレスを強請ります。貧乏そうなレカンの持ち物は大した値段ではないでしょうし、それを高額で買い取ることで施しになると思ったからです。でも、ルビーの行動は裏目に出てしまいました。レカンの持ち物は高位冒険者のもので、実はとても優れた効果があったのです。
お互いのためを思って行動し、レカンもそれに気付いたからこそ、ルビーに恥をかかせないようにネックレスを渡す所作は見事なものです。
エザク
レカンの世話役となった騎士です。
ストイックに訓練するレカンに付き合うことで彼の強さを認めましたし、エザクがレカンと仲良くすることでレカンもこの領主家に認められ易くなった良い関係です。二人が訓練していると、他の騎士たちが集まって一緒に訓練していきます。
レカンには敵わない、と漏らすエザクに、「そうだな」とお世辞も言えないレカンという気の置けない関係が良いです。
ザンジカエル
レカンが最初に助けた、ザイドモール領当主です。部下の報告でレカンを認め、身元不詳にも関わらず寝食の世話をしてくれました。年頃の娘がいるにも関わらず、恩人とはいえ年単位で世話をしてくれた懐の大きさはさすがです。
亀の魔物
この世界でもかなりの実力者になるレカンが、最初に苦戦するのが針をまとった亀の魔物です。この世界の立ち上がり時に世話になったザイドモール領のために、そして自分の居場所を作ってくれたルビーのために、この地を去る前に恩を返すレカンは熱かったです。
見どころ – 好きなシーン
ルビーにネックレスを渡したシーンでは、なぜ自分がそのことを受け入れてしまったのかと思い耽るレカンがいます。立ち去るときに盗んで元に戻せばいいや、と軽く考えている場面と、ルビーの輿入れ後に気が抜けて呆けるレカンの様子から、彼女の存在が、知り合いがいないこの世界でどれだけ大きかったのかを感じさせました。
残念ながらコミカライズでは再会することはありませんでしたが、もしかしたら原作では何かあったのではないかと期待せずにはいられません。
見どころ – ここに注目!
ルビーが成人すると、レカンは屋敷の本館に近づかないように言われてしまいます。1年以上この屋敷に世話になり、仲良くして貰えましたが、やはり世間的には身元不詳の怪しい男という評価は拭えないようです。エザクはフォローしてくれますが、余計な難癖をつけられないために気を遣う描写は少し切なかったです。
しかし、レカン本人は落ち込むこともなく、遠出できるチャンスと大物を仕留めに行きます。レカン、逞しい冒険者です。
ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!