本作『ふかふかダンジョン攻略記 ~俺の異世界転生冒険譚~』は、
漫画:KAKERU先生による異世界転生漫画です。
目次
あらすじ
主人公のジャンは、お馴染みのトラックにはねられて異世界に転生し、主人公に優しくないリアル物理法則の世界に絶望します。それでも最強の冒険者を夢見て、深き不可知の迷宮、通称ふかふかダンジョンを踏破することを決意しました。
ジャンには武術の才能はありませんでしたが、努力し続けました。いつしか子供たちの指導をするようになり、小さな子たちの才能を見るにつれ、現実が見えてきましたが、それでも鍛錬は続けました。小さな村では頭角を現したジャンですが、それでも世界は広く、彼より強い人はゴロゴロいます。
18歳で村を出たジャンは、意気揚々とふかふかダンジョンがある大陸に赴きますが、自分より弱いと思っていたゴブリンすら怖くて仕方ありません。そう、現代人のジャンにとって、ヤクザにかちこむよりもゴブリンと死闘する方が怖いに決まっているのです。
ジャンの冒険は、命をもって死闘の意味を教えてくれたゴブリンを心の師と抱き、ここから始まります…。
登場人物紹介
ジャン
『無双チートなんてなかった』がテーマの主人公ですが、体力的には才能のない凡人が到達できる上限に達している気はします。少なくとも新人冒険者の中ではすぐに頭角を現しました。
とはいえ、冒険者における戦闘力はあって当たり前のもので、偵察や罠回避、物資の運搬など、熟練冒険者の経験には敵いません。基本的に頭の良い人が登場する漫画なので、都合よくジャンが知略で活躍できる状況にはなりませんが、ジャン自身も知勇兼備といっても良いでしょう(というより、馬鹿が生き残れるほど甘い世界ではないのです)。
合理的な判断を行う冷徹な男でありながら、戦力外となる女性冒険者、通称Z級相当のメンバーでチームを組むなど、情を捨てきれない甘い面もあります。
意思の疎通ができるオークを助けることで、結果的に人族の拠点を救うファインプレーをしたり、危なっかしいけれど、功績を立てるジャンは、何かしら非凡なものを感じさせますね。
ナァル
初対面で「私のお尻に興味はありませんか」と言ってきた女性です。
この漫画は女性に優しくありません。都合よく魔法力が高かったり、素早さがあったり、知能が高かったりしません。なので、力が劣るけれど冒険者になりたい女性は、給料が安いことを許容する、性欲解消要員となる、尋常ではない戦力を持っている、という条件のいずれかに当てはまらなければなりません。身も蓋もないけれど、給料が安くてもいらない、とまで言われる世界なのです。
アロ
ナァルとは逆に、貞操観念を持った上で冒険者に憧れる女性です。伯爵の側室のようで、冒険者になる我儘を許してもらっています。そのため、性処理を行うZ級にはなれず、非力な彼女を仲間に加えてくれる相手がジャンしかいませんでした。
非常にプライドが高く、男性に負けない、と頑張るのですが、現実は非情で、何とか役に立てる分野はないかと苦悩する日々なのでした。
胸当てのような、女性と分かる装備を毛嫌いしています。しかし、この世界では女性と分かると繁殖用のために殺されないことが多いので、侍女のナギから「女性装備を外すなら冒険者を諦めろ」と強く厳命されています。
カタナ
女性は辛いという中で、戦力として活躍できる稀有な女性です。
戦力として認められているにも関わらず、Z級の仕事を好んでするため、アロとは意見が食い違い分かりあうことができません。
カタナは善悪の判断が人と少しずれている感じがしており、生い立ちが明かされることを楽しみに待っています。
レピア
『殺戮聖女』なんてぶっそうな異名を持つ女性です。
当然、女性が活躍するにはタネがあるわけで、彼女を聖女として活躍させるために、多くの”存在しない者たち”が暗躍しているのです(彼女自身はそのことを認識しておらず、もっと大きな権力が裏で動いているのでしょう)。
見どころ – 好きなシーン
『うんこ爆撃機』ことハルピュイアが、本気を出すと脅威な存在として生きています。確かに知能のある魔物に制空権を握られているのですから、本気で敵対すれば人間に勝ち目はありませんね。
一応、個人主義で群れないという設定ですが、美しい外見を剥製にする人間のせいで、ジャンのファインプレーがなければ復讐されていたでしょう。
うんこなら可愛いものです、ガチなら爆発物を落としてくるでしょうから。
見どころ – ここに注目!
厳しい世界観だからこそ、女の子たちは不思議な魅力を持って描かれています。メタ的にいうと魅力がない女の子は生存できないのでしょう。
この大陸に来るまで、奥手っぽいジャンに群がる仲間たちも、内面では打算がきっちり計算されていますし、綺麗な恋愛とはほど遠い気がします。生き死にがかかった世界観だからこそ、色気だろうが、情だろうが、使える者を全て使うという割り切った考え方が、一周回って心地よく感じるのです。
個人的にはアロの我儘を許した伯爵の器量の大きさと、政略結婚でありながら伯爵に惚れているジジ専アロの微笑ましい関係が、一滴の清涼剤になりました。
ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!