針子の乙女 あらすじ・キャラ・見どころ紹介!

本作『針子の乙女』は、
漫画:雪村ゆに先生、原作:ゼロキ先生、キャラクター原案:竹岡美穂先生による異世界転生漫画です。

あらすじ

 ヌィール家の長女として生まれたユイは、十歳の誕生日に「加護縫い」の試練を達成できなかった事で家族から見捨てられ、奴隷のように扱われる日々をすごす事になる。技術貴族であるヌィール家は衣服などを王家に献上する義務を持っており、そこに「加護縫い」を施す事で衣服に加護が宿り、刃などを通さない特別な服となる。加護縫いのできないユイは部屋に閉じ込められ、劣悪な環境と粗末な食事のみで衣類の制作をさせられていた。

 このまま朽ち果て死んでしまうのか、人生を諦めかけた十五歳。針子としてのユイを気に入ったカロスティーラ・ロダンが屋敷を訪れ、大金と引き換えにユイを雇い入れる。
 ロダン家に引き取られたユイは、ロダンと使用人たちに優しく庇護された事で心身ともに癒され、針子として成長した。そして過酷な五年間のうちに出来るようになっていた「加護縫い」を使い、密かに彼らの健康と幸福を願った。

 日頃の感謝の気持ちとして、屋敷の者たちに配られたユイの匂い袋。男装の筆頭執事であるウルデは、主に贈られた品物の検分をした所、ユイの「加護縫い」を発見。主のロダンに進言するとそれはヌィール家始祖の手によるものに等しい国宝級の出来栄えであった。
 ロダンは「ヌィール家の娘」としてユイと向き合い、明らかにされた真実の大きさに驚きながらも受け入れ、ユイを助ける為に前王ロメストメトロ・アージットと引き合わせる。

登場人物紹介

ユイ

 18歳の時に事故で死亡した女子高生、紬が転生した、ヌィール家の長女。二等級貴族。ヌィール家は衣服などを王家に献上する技術貴族。赤ん坊の時から前世の記憶があり、妖精たちの加護を受けている。

 両親や使用人から粗雑に扱われている理由は不明。幼少期は貴族の娘として衣食に困らない生活をしながら妖精と触れ合い、彼らが身に纏うボロ布のような衣類を修繕する事で魔法を習得してゆく。
 しかし十歳の誕生日に「加護縫い」が出来なかった事で家族から見捨てられ、粗末な部屋で針子として扱われる過酷な日々を過ごす事になるが、十五歳の時に転機が訪れる。

 針子としての才能を気に入ったカロスティーラ・ロダンが大金を払い、ヌィール家からユイを連れ出して雇い入れる。ロダン家で心身ともに癒されたユイは、針子として仕事をしながら健康を取り戻して輝く美少女となる。ずっと隠していた加護縫いが出来る事もロダンに告白し、妖精たちともさらに仲良くなった先で、前王ロメストメトロ・アージットの婚約者になる。

カロスティーラ・ロダン

 一代で貴族に取り立てられた優秀な文官。二等級貴族。青い目に茶金の髪をもつ美貌の青年。

 社交界で見掛けたユイのドレスが気に入り、ヌィール家の当主に大金を払って雇い入れる。
 ロダン家で優しく癒されたユイが美少女針子となって「加護縫い」を見せた結果、ロダンは大きな力を手に入れる事になる。

 ユイの「加護縫い」は始祖に等しい素晴らしい物であること、ユイは希少な「魔眼」(妖精が見える目)の持ち主であることを、彼女を見捨てた父親が知れば強引に取り返しに来る事態を予想したロダンは、前王ロメストメトロ・アージットの婚約者とする事でユイを守り、ヌィール家当主の代替えを画策する。

 アージットの部下、ユイの護衛となる女騎士メネス・ストールと恋仲でとても仲が良い。

ロメストメトロ・アージット

 前王。バツ2のイケオジ。

 魔眼を持つ女性との婚姻が良いとされていた為、最初の妃は国内から深窓の令嬢が選ばれた。しかし彼女は自分の意思を持たず、すべてを「ばあや」に任せる女性であった為、二人は会話を交わす機会も少なく、息子のアムナートにさえ関心を示さないまま若くして亡くなった。

 二人目の妃は隣国の姫。魔眼を疎まれて育った彼女はアージットの愛情を喜び、依存し、狂った果てに身辺の女性たちに危害を加えるようになり、それは前王妃の面影が残る息子アムナート、さらには国を守護する聖精霊国布守様にまで及び、重罪人として離縁、国外追放となった。

 アージットは妃の罪を負って王座を退き、息子のアムナートに玉座を引き継いだ。
 そうした事から結婚を遠ざけていたアージットだったが、ユイの加護縫いに心を動かされ、庇護する気持ちで婚約者となる事を承諾した。

スクル

 ロダンの王都別邸で家令をしている。男装の筆頭執事であるウルデの夫。魔眼の持ち主。弟子になってくれと引き止める数多の魔術師を振り切ってウルデ家に婿入りし、ロダンに仕えている。

 自分の魔力で作ったもこもこ上着で包むことで、傷付いた妖精を保護している。ユイが妖精の加護を受けている事を知り、ロダンの屋敷を訪問する。そしてユイが妖精を見る事が出来る魔眼の持ち主である事を確認し、さらに妖精を癒せる事を知ってロダンに報告。妖精を治療できるユイに尊敬の気持ちを持っている。

ミシュートゥ・トルアミア

 一等級貴族。国軍魔術顧問。

 ユイがヌィール家当主となる為に必要な「ヌィール家初代当主と蜘蛛の契約書」と契約を交わす場に専門家として同席する。
 しかしユイが日本人の転生者であった事から、解読できず読み飛ばす事が通例となっていた蜘蛛の名前を口にしてしまい、魔法陣が発動。先王や王、ユイや護衛たちが巻き込まれる中、魔法陣の破壊を命じられて実行する。

見どころ – ここに注目!

 十歳の誕生日に「加護縫い」が出来なかったユイは粗末な部屋に閉じ込められ、大量のドレスを縫う日々が始まります。メイドからも虐待を受け、それでも残飯のような食事を貰う為に寝る間も惜しんで仕事をします。生死の境に至ると妖精の加護で延命されます。
 家を飛び出せばのたれ死ぬが、ここに居ても遠くない日に死ぬだろう。絶望の日々はユイから考える力を奪い、毎日ドレスを縫い続けます。

 けれどそのドレスがロダンの目に留まり、大金を持って雇い入れに来てくれます。
 ロダンに連れられてヌィール家を出たユイの人生は幸せに輝くものとなり、彼女を虐げた家族は落ちぶれてゆきます。美しい王道が好きです。

 ここまで読んだ時はロダンがユイの王子様になるのかと思いましたが、兄のような存在で、本命がイケオジ前王アージットという所が意外でした。しかしアージットも保護者気分なので、もしかしたら本物の王子様がこの先に現れるのかもしれないです。とても楽しみです!

見どころ – 好きなシーン

 アムナート王が王妃・ハーニァをお披露目する夜会のシーンです。
 ユイの妹メイリアは、染め付け技術貴族フルク・ハーニァのから加護縫いを依頼された深紅のドレスを着服して夜会に出ていた。それを見たハーニァが着替えるように要求すると、メイリアは飲み物を投げかけて立ち去った。
 メイリアにドレスを奪われ、急ごしらえで作られた同じ形で仕上がりの悪いドレスを汚されたハーニァが屈辱に打ち震える所へユイが訪れ、王を守護する緑の精霊が駆け付ける。精霊から王の魔力を受け取ったユイが汚されたドレスに加護縫いを施して、濡れた部分を乾かし、作りの悪いドレスを仕上げて完璧にすると深紅のドレスに緑の葉が生い茂る。
 ハーニァはユイに感謝し、ユイへ魔力を渡す。ユイが魔力を花の形に作り上げて返すとハーニァは喜び、自分の守護精霊である炎の精霊と王の守護精霊である緑の精霊、最後に王へと花を渡す。花を受け取った王は喜び、自分のマントに添えた。花は炎となってマントを走り、深緑のマントに炎の加護が縫い上がる。
 王のマント、そして王妃となるハーニァのドレスを彩った加護縫いを見た人々はユイの技術に驚き、称賛する。

 この場面はとても素敵で、見ごたえがあります。アムナート王とハーニァは幼い頃から恋心を育てて来た二人なので、幸せになって欲しいです。

 ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!