本作『悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~』は、
漫画:のこみ先生、原作:七夕さとり先生、キャラクター原案:Tea先生による異世界転生漫画です。
目次
あらすじ
ユミエラは貴族の娘なのですが、彼女が黒髪(この世界では忌避対象)であることから、メイドたちからも不気味がられています。ある日、違和感に気づいたユミエラは、自分が日本の女子大生だったことを思い出します。そして手に入れた様々な情報を整理していく中で、ここが前世でプレイしていた乙女ゲームの世界だと結論付けます。
さらにユミエラは、自分が庶民のヒロインを虐める悪役令嬢のキャラクターであることに気づきます。実はこのキャラクター、魔王を倒した後に現れる裏ボスでもあるのです。ヒロインの光属性とユミエラの闇属性は相反する特性をもっており、ユミエラはレベルを上げて物理で殴るが唯一の攻略法といえる完璧キャラ。悪役という役柄に思うところはありましたが、発想を逆転させ、最悪自分が魔王を倒してしまえばいいじゃない、とユミエラは人生設計を始めます…!
登場人物紹介
ユミエラ
あまり感情を露にするキャラクターではありませんが、能動的で目的のためなら危険も厭わない性格です。貴族の令嬢にも関わらず、単身森に出掛けて魔物を狩っていく様は、侍女の首が飛んでいないか心配になるほどです。普通は危険でやりませんが、回復魔法で腕一本くらい生やせますし……という性格です。
前世がゲーマーということで効率重視でレベル上げを行い、ついには無敵のレベル99に至ります。周りがレベル10もあれば凄いと言われる状況なので、機械の故障と思われても仕方ありませんが、まったくユミエラの言葉を信じてくれない周りの大人たちもどうかと思います。ユミエラのコミカルな内面で緩和されていますが、けっこうキツイ環境ですね。
ウィリアム
攻略対象の脳筋男性。正義感が強く、何かとユミエラを敵視してきますが、トップクラスの努力家です。
肉体に自信があるため、ユミエラと実技で渡り合おうとしますが、どうやって殺さないように手加減するかがユミエラの至上命題です。ユミエラは魔法使いですが、弱点がなく物理でも爆散させるくらい強いので、ついうっかりでも命にかかわります。
そこまで実力差がありながら、なおユミエラの実力を認めない不屈な面白男です。
パトリック
友達のいないユミエラと仲良くしてくれた男性です。彼は誰とでも仲良くできるリーダー的存在ですが、剣技においてもユミエラが見習う点があるほど凄い男です。力こそパワーのユミエラに勝てませんが、我流のユミエラにはない技術はそれまでの努力を窺わせます。
彼も若干黒い髪質をしており、周囲から奇異な目で見られていました。彼は、自分以上に奇異な目で見られているユミエラの心情を慮り、髪色で彼女を差別しないと誓うのです。
アドルフ
王国騎士団団長です。一目でユミエラの実力を認識できるだけの実力者ですが、王の命令には逆らえずユミエラに不意打ちを仕掛けます。その一瞬で、政治的判断まで考えたユミエラは、お辞儀で躱すという離れ業を見せるのです。三枚目が多い中で格を保った彼は凄いと思います。
見どころ – 好きなシーン
「どうやってそこまで強くなれたのか」と王様から質問されたユミエラは、オタク特有の”好きな事柄を力説する”という技を見せてしまいます。一人でダンジョンに入り、魔物を呼び込む笛を吹くという、頭がおかしい行動に誰も賛同してくれませんでした。しかも命綱となる守護の護符を持たないなんて正気ではありません。
興奮冷めやらぬユミエラとのギャップが良いです。何とかユミエラと敵対しないように褒美を取らせようとする王様と、何かあったら国外逃亡しよっと軽く考えているユミエラの温度差もクスリとさせられますね。
見どころ – 関係性、ここに注目!
老練な王妃様とユミエラの関係が良いですね。
魔王を討伐してくれたらエドウィンと結婚しては、と提案する王妃様に即答で断るユミエラ。そしてそれをプルプルしながら笑いを堪える王妃様の関係が微笑ましいです。瞬時にモーリスとの結婚も捻じ込もうという抜け目なさもさすがですね。でも、そのような軽い雰囲気から真面目な顔で、黒髪の偏見をなくせる、と繋げていく様はさすがだな、と感じました。たとえレベル99であっても王妃様にとっては可愛い娘みたいなものなのかもしれませんね。
ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!