本作『おかしな転生 最強パティシエ異世界降臨』は、
漫画:飯田せりこ先生、原作:古流望先生、キャラクター原案:珠梨やすゆき先生、脚本:富沢みどり先生による異世界転生漫画です。
目次
あらすじ
パティシエとして世界を目指していた青年が事故死した。もっとお菓子を作りたかった、という強い思いと記憶を持ったまま転生した先は、辺境の貧乏領地だった…。
初代モルテールン騎士爵が治めるその領地は、不毛の大地。末子嫡子で生まれたペイストリー=ミル=モルテールンは領地を富ませてお金を稼ぎ、稼いだお金でお菓子を作って、さらにお金を稼げるようになりたいと常々思っていたが、なかなか上手くいかない。
しかし成人の儀式で「転写」の魔法を使えるようになったペイストリーの世界は、激しく動き始める。戦闘、誘拐、婚約、政治、外交、その間にお菓子作りと、魔法を使ったお小遣い稼ぎも忘れずに、家族と領民を巻き込んで、モルテールン領を発展させてゆく。
登場人物紹介
ペイストリー=ミル=モルテールン
モルテールン家末子嫡子。転写の魔法が使える。九歳。愛称ペイス。村では幼馴染のマルクとルミがいつも一緒。三人で悪戯したり、遊んだりしている。
前世の記憶がある事を隠しながらも上手く利用して、農地改革や財政補強などをしていたが、地道すぎて大好きなお菓子作りまでは辿り着けなかった。
しかし、成人の儀式を経て「転写」の魔法を手に入れてからは快進撃。魔法を最大限に活用して財政を潤し、その過程で繋がりが出来たフバーレク辺境伯家の四女リコリスを婚約者に貰い受ける。
黒字経営に傾きつつある帳簿に、お菓子の材料費をこっそりと紛れ込ませて、父とシイツに怒られながらも、作ったお菓子でさらなる儲けを企むペイス。
夢は、お菓子で溢れている国。
優しい家族と領民、そして可愛い婚約者に支えられながら、大好きなお菓子作りを好きなだけやれるように、そして世界にお菓子を満ち溢れさせる為に、ペイスはモルテールン領の発展に尽力する。
カセロール=ミル=モルテールン騎士爵
ペイストリーの父。騎士。瞬間移動の魔法が使える。子供六人の子煩悩。
プラウリッヒ神王国第十二代国王崩御、これを機に内乱が勃発し、近隣諸国が進軍を始めた。国家存亡の時、十九歳のカセロール=ベニエは騎士爵家の従士として王軍側に居た。
成人したばかりのカリソン王子の力は弱く、叔父である先代王の弟までもが敵国と手を組み、諸侯貴族たちの裏切りや寝返りが横行する最中、王都まで追い詰められた神王国軍。進退窮まったその時、カセロールは単独夜襲を決行し敵の大将と将軍四名を討ち取る。
カリソン王子はこの機を逃さず猛攻を仕掛け、プラウリッヒ神王国は勝利を奪い取った。この功績をもって、カセロールは騎士爵位とモルテールン地方を領地として与えられる。
しかし、モルテールンは草木実らぬ不毛の地。開拓には時間がかかり、貧乏貴族まっしぐらであったが、嫡子ペイストリーが育つにつれて改善して行き、親子で魔法が使えるようになった後は、凄まじい勢いで成り上がって行く。
強く、優しく、誠実で勇猛な気質。家族みんなが仲良しで、最高の相棒シイツを右腕に、子煩悩の父上は騎士の道を粛々と進む。
ブリオシュ=サルグレット=ミル=レーテシュ女伯爵
プラウリッヒ神王国南部の大領を治める女傑。優秀すぎるが故に、親族男子に跡目を譲る事が出来ない自称二十八歳。
モルテールン領の発展に、嫡子ペイストリーの存在が密接に関係していると目を付けていたが、今一つ確信が持てず動向を見守っていた所、フバーレク辺境伯家が四女リコリスを婚約者にした事で予想を確信に変える。
ペイストリーの方も優秀なレーテシュ伯を尊敬しており、二人は商売敵として仲良く発展してゆく。
そうした先で、レーテシュ伯はペイストリーからお見合い相手として、セルジャン=クース=ミル=オーリヨン伯爵を紹介される。二人の相性は最高。結婚して子供を出産する。(レーテシュ伯家従士長コアトンの感極まる大泣き姿は読者の姿でございました。)
シイツ=ビートウィン
モルテールン騎士爵家私兵団長であり従士長。千里眼の魔法が使える。カセロールの右腕であり戦友。若い頃から戦場を共にしている。
あらゆる仕事をこなすオールラウンダー。軽い口調と女にだらしない性格だが、やる事はきっちりとやる、有能な男。モルテールン家の信頼は厚い。カセロールとペイストリーには甘々。
なんだかんだで仕事三昧な日々で独身を貫いていたが、13歳の嫁を貰う事になる。(おめでとうシイツ。)
デココ=ナータ
モルテールン家御用商人。ペイストリーに人生を賭けると決めた行商人。
貧乏な頃から辛抱強く付き合っていたが、ペイストリーの成長と共に発展してゆくモルテールン領にガンガン投資して誠実に商売を重ね、地道に成長してゆく。珍品を持って来てくれるので、デココが来ると新しいお菓子が登場する。
見た目は地味だけど、野心溢れる男気がある人。
見どころ – 好きなシーン
砂糖を作ろうとして、樽の中身がお酒になった話です!
甘いお酒を飲んでしまったペイストリー、マルク、ルミが倒れてしまいます。それを知ったカセロールは、心配のあまり激怒しますが、過程を聞いてペイストリーに落ち度が無い事を認め、許します。
その後、残された僅かな酒を、大人たちが醜く奪い合う姿がとても楽しかったです! 毒味をしないと大将が危ないとか、息子&娘がご迷惑をかけた諸悪の根源を処分に来たお父さんたちとか、大事な御身の為に若い私が飲みますとか…。
部下たちの思いやりという皮を被った「お酒飲みたい!」という欲望をカセロールは抑えきれず、最後はみんなで仲良く少しずつ飲みました。面白かったです!
見どころ – 関係性、ここに注目!
豆狩り競争の後、ルミとアーラッチが仲良くなった事でマルクが嫉妬。さらにアーラッチがルミを好きだと誤解してしまい、そっけなく当たって怒らせてしまう。しかしマルクには嫉妬の自覚が無くて言い訳が出来ず、アーラッチの方も理由無く突っかかられて腹が立つ。
二人の対立は日々高まり、激突間近にリコリスがペイストリーへ相談。子供の喧嘩と放置する事は簡単だが、先住者のマルクと移住者のアーラッチが対立するのは良くないと判断したペイストリーは「モルテールン決闘大会」を開催。
マルクとアーラッチが対戦して、マルクの勝利。正々堂々と戦った二人はすっきりして、お互いに謝罪して仲直り。さらにアーラッチが好きなのはルミではなく、ペイストリーの姉ジョゼフィーネだと知ったマルクは、心配事も無くなり、元通りの仲良しに。
甘酸っぱい青春のような関係がとても好きです!
ぜひ、読んで楽しんでみてくださいね!